「クリエイターとして法人成りする際にいくらの費用がかかるのかわからない」
「株式会社と合同会社だとどのくらい費用は変わるの?」
クリエイターとして会社を設立する際には、費用がかかります。ただ、資本金をいくらにすれば良いのか、株式会社・合同会社のどちらを設立するか費用面で悩んでいる人も多いでしょう。
また、そもそも会社設立の流れがわからない人もいるかもしれません。
そこでこの記事では以下の内容について詳しく解説します。
- 会社設立の流れ
- 株式会社と合同会社設立にかかる費用の違い
- 資本金の決め方
この記事を読めば、会社設立の手続きをする際に必要な費用がわかるようになります。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
会社設立の流れ
最初に会社を設立する際の流れについて解説します。これから法人化したいクリエイターは流れを押さえておきましょう。
1.基本事項を決定する
会社の設立にあたり、最初に決めるべきことは基本事項です。
基本事項とは、会社の定款に記載する事項で、以下のようなものがあります。
- 商号
- 発起人の決定
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金額
- 設立日
- 会計年度
- 株主および役員の構成
発起人とは会社を設立する人を指します。
株式会社の場合は、資本金を得るために持ち株比率を決めたり役員報酬を決定するなど必要な手続きが増えるので注意が必要です。
2.法人用の実印を作成する
続いて法人用の実印を作成しましょう。実印を作成したら印鑑届書の提出も行います。なお、オンラインで設立登記を行う場合は、印鑑届出書の提出は任意となります。
とはいえ、会社を設立した後に契約書の締結や銀行から融資を受ける際に実印を使う場面があるので作成しておいた方が良いでしょう。
3.定款を作成する
続いて会社を運営する上のルールとなる定款を作成します。
定款には必ず記載しなければならない絶対的記載事項があります。
- 商号
- 事業目的
- 本店所在地
- 発起人が出資する額または最低額
- 発起人の氏名と住所
なお、発起人が複数人いる場合は全員分の氏名と住所の記載が必要です。
また、定款には法的拘束力はないものの、記載がなければその事項の効力が認められなくなる相対的記載事項があります。
特に株式会社を設立して株券を発行する場合は、株券を発行する旨の定めを記載しなければなりません。
加えて、定款以外の文書などに記載しても効力が認められる任意的記載事項も必要に応じて記載しておきましょう。
4.公証役場で認証を受ける
株式会社を設立する場合のみ、定款を作成したら公証役場で認証を受けましょう。定款の認証とは、公証人が定款が正当な手続きで作成されたことを証明する手続きのことです。
紙もしくは電子定款により提出します。
5.資本金を払い込む
次に資本金を銀行口座に払い込むのですが、株式会社と合同会社では手続きが異なります。
株式会社の場合 | 発起人が株数に応じた資本金を発起人個人の口座に振り込む |
合同会社の場合 | 出資者の個人口座に振り込む |
なお、株式会社で発起人が複数いる場合は、発起人代表の個人口座に振り込みます。
合同会社の場合は、口座通帳の表紙と裏面・振り込み内容が記載されたページのコピーを取り、払込証明書を作成してください。
6.法務局で登記申請を行う
資本金を支払ってから2週間以内に、本店所在地の管轄法務局に行って、登記申請を行いましょう。
用意するべき書類は以下の通りです。
- 設立登記申請書
- 本人確認書類
- 収入印紙を貼った用紙
- 取締役の就任承諾書、印鑑登録証明書
- 資本金の払込証明書
- 印鑑届出書
- 認証を受けた定款
- 登記事項を記載したCD-RやDVD-R
- 登録免許税
なお、会社の設立日は登記申請を行った日となります。
会社の設立時にかかる費用
株式会社と合同会社それぞれのケースの設立手続きを行う際にかかる費用を解説します。
まず、株式会社の場合は約24万円、合同会社の場合は約10万円は必要になります。
ただし、資本金額や手続きの方法によって費用は変わるので注意が必要です。
ここからは、会社設立時にかかる費用の詳しい内訳を順番に見ていきましょう。
資本金
資本金とは会社を設立する際に必要な資金で、株主や投資家が出資するケースもあります。
資本金は最低1円から会社を設立できます。
しかし、資本金は会社の資本力を判断する材料となるため、金額が低すぎると信用が低くなる可能性があります。
よって、クリエイターから法人成りするケースであっても、ある程度の資本金は用意しておいた方が良いです。
資本金を決める基準は、以下の2つがあります。
- 銀行から受けたい融資額に応じて決める
- 初期投資と半年分の運転資金にする
新創業融資や制度融資など会社を設立後すぐに受けられる制度では、融資できる金額が資本金によって決まります。
基本的に融資で受けられる金額は、資本金額と同等から2倍程度です。よって資本金が100万円の場合は100万円から200万円ほどです。
日本政策金融公庫から融資を受けられる上限額についても、初期投資や運転資金に対して自己資金の10分の1になります。
銀行でほかの融資を受ける際にも資本金が審査基準の1つになるので、資本金が少なければ、融資を受けられない可能性があります。
そのため、事業を大きくしたい場合は、ある程度の資本金を用意しましょう。
ただし、資本金が1,000万円以上になると課税事業者のため、消費税を納税しなければならなくなります。
収入印紙代
収入印紙代は定款の認証をする際にかかる費用です。紙の定款の場合、株式会社・合同会社のいずれも4万円の費用がかかります。
なお、電子定款であれば、費用はかかりません。
定款の認証手数料
定款の認証手数料は、定款の認証を受ける際に必要な費用です。株式会社の場合は、資本金額に応じて支払う必要が変わります。
資本金 | 定款の認証手数料 |
100万円未満 | 3万円 |
100万円以上300万円未満 | 4万円 |
その他の場合 | 5万円 |
合同会社の場合は、定款の認証が不要なため認証手数料はかかりません。
謄本の発行手数料
契約の締結時や銀行口座の解説時に謄本が必要になることがあります。謄本の発行手数料は、登記簿謄本が1通600円、印鑑証明書が1通450円です。
合同会社の場合は、謄本代が不要のため、費用がかかりません。
登録免許税
登記免許税は、法務局で登記申請を行う際に必要です。
株式会社の場合は、15万円または資本金額✖️0.7%のどちらか高い方の費用がかかります。
合同会社の場合は、6万円または資本金額✖️0.7%のどちらか高い方の費用が必要です。
たとえば、合同会社の場合は資本金が850万円くらいまでは6万円を支払います。
印鑑の作成費用
印鑑はクライアントとの契約締結や銀行口座の開設時に必要となります。
銀行印、角印、実印の3本で2万円から5万円が相場ですが、1万円以内で購入することもできます。
会社設立後に必要となる費用も用意しておく
会社を設立後に必要となる費用もあります。
- 運転資金
- 税金や社会保険料
- 税理士に支払う顧問報酬
法人化すると、赤字でも法人住民税の均等割を約7万円支払う必要があります。
また、弁護士と顧問契約を結ぶ費用が月額3万円から5万円ほど、別途決算書の作成費用がかかります。
さらに役員・従業員の数、役員報酬や給与額に応じて社会保険料の支払いも必要です。社会保険料の目安は社員の給与の15%程度です。
会社設立前に事業を続けるための費用も用意しておきましょう。
まとめ
合同会社の方が株式会社よりも会社を設立する際の費用は抑えられます。
また、定款の認証をする際の費用は、紙ではなく電子定款にすることで、費用を無料にできます。
資本金については1円から可能ですが、銀行からの融資額が少なくなったり会社の信用が低くなったりするので注意が必要です。そのため、慎重に決める必要があります。
会社設立後もさまざまな費用が必要になるので、資金はある程度用意しておきましょう。
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