クリエイターとしてフリーランスになったものの、確定申告のことがよく分からなくて困っていませんか?
とくに青色申告と白色申告のどちらを選ぶべきかは、多くの方が悩む問題です。
この記事では、青色申告と白色申告について、違いやメリット・デメリットを詳しく解説しています。青色と白色、どちらで確定申告をするべきか分からない、という人はぜひ参考にしてください。
目次
- 1 青色申告とは?
- 2 青色申告と白色申告の違いについて
- 3 青色申告のメリット
- 4 青色申告特別控除が受けられる(最大65万円)
- 5 家族に給与を支払える(青色事業専従者給与)
- 6 純損失の繰越しと繰戻しができる
- 7 少額減価償却資産の特例が受けられる
- 8 青色申告のデメリット
- 9 複式簿記での記帳が必要
- 10 提出書類や保存する帳簿が多い
- 11 白色申告のメリット
- 12 記帳方法が「単式簿記」で良い
- 13 特別な申請(届出)が不要
- 14 白色申告のデメリット
- 15 節税効果が低い
- 16 収入に関係なく記帳などが必要になった
- 17 青色申告と白色申告はどちらを選ぶべき?
- 18 青色申告がおすすめの人
- 19 白色申告がおすすめの人
- 20 青色申告の申請方法
- 21 申請期限
- 22 申請に必要な書類
- 23 まとめ:確定申告は青色申告を視野に入れておくことがおすすめ
青色申告とは?
確定申告には申告方法が2つあり、青色申告はそのうちの1つを指します。もう1つは白色申告と呼ばれています。
青色申告と白色申告は自由に選択できますが、それぞれにメリットとデメリットがあるので、まずは違いをしっかりと把握することが重要です。大きな特徴として、青色申告は節税効果が高く、白色申告は帳簿付けが簡単、ということが挙げられます。
このあと、青色申告と白色申告の違いについて、さらに詳しく解説していきます。
青色申告と白色申告の違いについて
青色申告と白色申告の違いを一覧にすると、次の表のようになります。
比較項目 | 青色申告 | 白色申告 |
税務署への申請 | 必要 | 不要 |
記帳方法 | 複式簿記*(難しい) | 単式簿記(やさしい) |
節税効果 | 高い | 低い |
確定申告の提出書類 | 3月15日 | 3月15日 |
帳簿の保管 | ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・固定資産台帳 ・総勘定帳 ・仕訳帳 |
・法定帳簿 ・任意帳簿 |
*青色申告控除を10万にする場合は、単式簿記で可
青色申告は節税効果が高い分、記帳方法が難しかったり、確定申告での提出書類の種類が多かったりします。
白色申告は節税効果が低いものの、記帳方法がやさしく、確定申告の提出書類は2種類ですみます。
このあとは、青色申告のメリットとデメリット、白色申告のメリットとデメリットをお伝えしてきます。青色申告と白色申告の違いがより深く分かる部分ですので、ぜひ確認してください。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは、次の4つです。
- 青色申告特別控除が受けられる(最大65万円)
- 配偶者や親族へ給与を支払える(青色事業専従者給与)
- 純損失の繰越しと繰戻しができる
- 少額減価償却資産の特例が受けられる
それぞれについて、詳しく説明します。
青色申告特別控除が受けられる(最大65万円)
青色申告では、最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられます。これは白色申告にはない控除となっています。
65万円の控除を受ける条件は、次の3つです。
- 複式簿記で記帳する
- 確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付する
- e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行う
「e-Taxによる申告または電子帳簿保存」が行われない場合、控除額は55万円となります。
複式簿記でなく単式簿記で記帳を行った場合、控除額は10万円となり節税効果が薄れてしまうので、注意してください。
家族に給与を支払える(青色事業専従者給与)
青色申告では、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておけば、家族に給与を支払えます。そしてその給与は、経費に計上できるのです。
白色申告の場合は配偶者で86万円、そのほか親族は1人あたり50万円と上限金額が決まっていますが、青色申告専従者給与は上限がありません。
ただし、家族を青色事業専従者とする条件として「青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること」などがありますので、届け出をする前に確認しておきましょう。
純損失の繰越しと繰戻しができる
青色申告では、純損失の繰越しと繰戻しができます。
純損失の繰越しとは、ある年に赤字が出た場合、その損失額を最長で3年間にわたって繰越しを行えることです。次年度以降で黒字になったとしても、相殺ができるため所得が減り、支払う所得税も減ることになります。
純損失の繰戻しとは、前年度は黒字だったものの今年度は赤字だったという場合に適用できます。前年度に納めた所得税から還付を受けられるという仕組みです。
少額減価償却資産の特例が受けられる
クリエイターの方ですと、事業のためにパソコンやカメラ、作業机などを購入する機会がありますね。こういった長期的に使用する機器や家具で、10万円以上の価格のものは「固定資産」に該当します。
固定資産は通常、購入金額を1度に経費へ計上することはできません。減価償却といって、定められた耐用年数に分けて計上しなければならないからです。
しかし青色申告で条件を満たしていれば、30万円未満の固定資産は購入した年に全額を経費へ計上できます。これを「少額減価償却資産の特例」と言います。
経費に計上できる金額が増えれば所得は減るため、節税効果が大きくなるのです。
白色申告では10万円を超える固定資産は減価償却が必要になるため、節税の部分で青色申告より不利と言えます。
*経費に計上できる固定資産の上限額は、年間で300万円です。
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは、以下の2つです。
- 複式簿記での記帳が必要
- 提出書類や保存する帳簿が多い
それぞれについて、詳しく説明します。
複式簿記での記帳が必要
白色申告では単式簿記が認められているのに対し、青色申告で65万円/55万円の控除を受けるためには、複式簿記を用いて帳簿づけを行わなければなりません。
複式簿記とは、1つの取り引きに対し勘定科目を複数使って仕訳を行う方法です。この仕訳をもとに、確定申告で提出する貸借対照表や損益計算書が作成されます。
複式簿記は、単式簿記に比べると手間がかかってしまいます。また簿記の知識が全くない場合、自力で帳簿付けを行うのはかなり難易度が高いです。
簿記の知識がないけれど青色申告をしたいという方は、会計士などに記帳や確定申告の代行を依頼することも検討してみましょう。
提出書類や保存する帳簿が多い
白色申告に比べ青色申告では、確定申告で提出する書類や保存しなければならない帳簿の種類が多いです。
青色申告(65万円控除の場合)では、確定申告のさい、最大で6種類の書類を提出しなければなりません。対して白色申告では、2種類の書類を提出すれば良いのです。
帳簿の保存に関しても、青色申告(65万円控除)では6種類、白色申告では2種類となっています。
青色申告(65万円控除) | 白色申告 | |
確定申告での提出書類 |
|
|
保存すべき帳簿 |
|
|
白色申告のメリット
白色申告のメリットは次の2つです。
- 記帳方法が「単式簿記」で良い
- 適用するための届出が必要ない
それぞれ詳しく説明します。
記帳方法が「単式簿記」で良い
白色申告のメリットは、記帳が「単式簿記」で良いため、帳簿づけが簡単であることです。
単式簿記とは、勘定科目が1つだけでよく、収支のみを記帳していく方法です。お小遣い帳のような感覚で記帳できるので、簿記の知識がない人でも、理解しやすい仕組みとなっています。
特別な申請(届出)が不要
青色申告をしたい場合は申請が必要ですが、白色申告では必要ありません。
開業届を税務署へ提出すれば、自動的に白色申告が採用されます。
白色申告のデメリット
白色申告のデメリットは、次の2つです。
- 節税効果が低い
- 収入に関係なく記帳などが必要になった
このあと、詳しく説明します。
節税効果が低い
白色申告の一番のデメリットは、節税効果が低いことです。
青色申告では、青色申告特別控除や赤字の繰越しなど、さまざまな節税対策が行なえます。しかし、白色申告では、青色申告ほどに節税できる控除などの仕組みがありません。
固定資産の減価償却についても、青色申告では1度に30万円まで計上できますが、白色申告では10万円までしか認められません。10万円を超えるパソコンやカメラなどを購入したさいは、数年に分けて経費へ計上していくことになります。
収入に関係なく記帳などが必要になった
2013年度までの白色申告では、収入が300万円未満であれば、記帳や帳簿保存は必要ありませんでした。しかし2014年度より、収入に関係なく記帳と帳簿保存が義務付けられています。
このため、以前よりも白色申告のメリットは少なくなったと言えるでしょう。
青色申告と白色申告はどちらを選ぶべき?
青色申告と白色申告の違いは分かっても、「結局私の場合、青色申告と白色申告のどちらを選ぶべきだろう」という疑問が浮かんで来ませんか?
そこでここからは、青色申告と白色申告、それぞれがおすすめなのはどんな人なのか、お伝えしていきます。
青色申告がおすすめの人
青色申告の方がおすすめなのは、以下に当てはまる人です。
- できるだけ節税をしたい人
- これから事業を始める人
- 簿記の知識がある人
節税効果が高いのは、白色申告よりも青色申告です。その差はかなり大きいので、必ず青色申告にしましょう。
これから事業を始める場合は、開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出するようにしましょう。白色申告から青色申告に変更する手間が減ります。
簿記の知識がある人は、青色申告にしておかない手はありません。会計ソフトを使えば、青色申告は難しくありませんよ。
白色申告がおすすめの人
白色申告の方がおすすめなのは、以下に当てはまる人です。
- 年末に近い時期に事業を立ち上げる人
- 売上の見込みがあまりない人
確定申告の対象となる期間は、毎年1月1日~12月31日です。年末に近い時期に事業を立ち上げるなら、青色申告よりは手間のかからない白色申告を選択するといいでしょう。
また、売上の見込みがあまりなく、節税を意識しなくていい場合も、帳簿付けが簡単な白色申告の方がおすすめです。
ただ、青色申告の申請を出していても、確定申告のさいに白色申告へ変更することはできます。メリットは青色申告の方がかなり多いので、とりあえず青色申告の申請を出しておくことが得策です。
青色申告の申請方法
青色申告はいつでも申請できるわけではありません。また、申請のために必要な書類があります。
ここでは、青色申告の申請期限と必要書類について説明します。
申請期限
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出が必要となります!
申請に必要な書類
青色申告の申請のために必要な書類は、「青色申告承認申請書」です。開業届と同時に提出することも可能です。
また、家族に給与を支払うことが決まっている場合は「青色事業専従者給与に関する届出」も一緒に提出してください。
申請書は、納税地の所轄税務署に提出しましょう。
まとめ:確定申告は青色申告を視野に入れておくことがおすすめ
青色申告と白色申告の違いや、どちらの申告方法がおすすめかについてお伝えしてきました。
とりあえず白色申告を選ぶことを決めた場合は、次回の確定申告では青色申告にすることを視野に入れておくのがおすすめです。クリエイター事業が大きく成長すると、所得税も大きな金額になってしまうからです。
青色申告にすることを決めた方は、会計ソフトを導入したり、簿記の勉強を進めたりしていきましょう。
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