クリエイターが個人事業主になると、さまざまなお金の悩みが出てきますね。
- お金の管理方法が分からない
- お金について、どんなことに気をつけておくべきか分からない
- 事業とプライベートで使うお金の線引きが難しい など
個人事業主になったとたん、売上、経費、税金など、さまざまなお金の管理を基本的には自分でやっていかなければなりません。大変に感じてしまうかもしれませんが、お金の知識をつけておくと、事業の安定にもつながります。
事業の中でも重要な役割を担う「お金の管理方法」について、この記事で分かりやすくお伝えしていきます。ぜひ最後までご覧になってください。
目次
【個人事業主】お金の管理が必要な理由
そもそも、お金の管理はなぜ必要なのでしょうか。
理由はいろいろと挙げられますが、重要なのは次の3つです。
- 利益が出ているかを把握するため
- 確定申告で困らないようにするため
- 仕事ができなくなったときや老後に備えるため
それぞれの内容について、詳しくお伝えします。
利益が出ているかを把握するため
事業をうまく回していくためには、売上だけを見ていてはだめで、「利益」がきちんと出ているかも確認しなければなりません。極端な話ですが、売上が1000万円あっても経費が900万円であれば、利益は100万円しかないということになってしまいます。
売上と経費が把握できていなければ、赤字に気がつけないままになってしまうこともあるでしょう。納税のときになってお金が足りない、という事態にもなりかねません。
「新たなことに挑戦したいけれど、どのくらいお金をかけていいのか分からない」「入金が少し先になるのを忘れていた、生活がギリギリ」といったことも避けたいものです。
事業の成長とリスクの回避のために、利益がどのくらい出ているかを把握することは、とても大切なことなのです。
確定申告で困らないようにするため
個人事業主は毎年、確定申告をしなければなりません。経費や売上をまとめて計上しようとすると、次のような事態が起こってしまいます。
- 領収書がどこにいったか分からない
- 事業に使った経費がどれなのか分からない
- 売上の計上漏れがある
- 源泉徴収がいくら引かれたのか分からない
「分からない」ことが多くなると、間違った申告をしてしまったり、税金の面で損が出てしまったりすることもあります。
経費や売上の記帳は、まとめてするのではなく、週に1回、月に1回などタイミングを決めておくようにしましょう。
仕事ができなくなったときや老後に備えるため
会社員には公的な休業補償がありますが、個人事業主には適用されません。しかし、誰もがケガや病気で働けなくなってしまう可能性はあります。このような場合に備えて、しっかりと貯金をしておくことが大切です。
また個人事業主は、公的年金が国民年金のみになるため、給付される年金が会社員よりは少なくなってしまいます。老後に備える意味でも、きちんとお金の管理をしましょう。
個人事業主のお金の管理方法
クリエイターである個人事業主の方がお金をうまく管理するためには、次のことを心がけましょう。
- 領収書や請求書を保管しておく
- こまめに記帳をする
- 銀行口座やクレジットカードは事業用とプライベート用を分ける
それぞれ、詳しく解説します。
領収書や請求書を保管しておく
事業に関連する支出は「経費」になり、もれなく計上することで節税につながります。しかし、経費に計上するためには、支払ったことを証明するものが必要です。領収書は、支払いの証拠になるので必ず取っておきましょう。また領収書には7年の保管義務があるので、大切に保管しておいてください。
クリエイターの方は、請求書も保管しておくことをおすすめします。報酬の入金がきちんとされているか、源泉徴収はされているかといったことが、確認しやすくなるからです。
こまめに記帳をする
個人事業主の会計でありがちなのは、「仕事が忙しくて時間がない」と、記帳を後回しにしてしまうことです。その結果、領収書の整理に時間がかかったり、支払いの内容を忘れてしまったりします。
このような事態を避けるために、週に1回、月に1回など、記帳するタイミングを決めておきましょう。
記帳するには、手書きする、エクセルで作成する、会計ソフトを使うという方法があります。しかし、手書きやエクセルはあまりおすすめしません。簿記や会計にかなり精通している人でないと、ミスが起こりやすいからです。
会計ソフトであれば、青色申告に必要な、複式簿記による記帳、貸借対照表や損益計算書の作成も行えます。経理や簿記が苦手という方を大いに助けてくれるでしょう。
簿記や会計について全く自信がない場合や、事業の規模が大きい場合は、税理士さんに会計をお願いすることも検討してみましょう。自分で帳簿付けをするよりは費用がかかりますが、その分時間が空くようになります。
銀行口座やクレジットカードは事業用とプライベート用を分ける
銀行口座とクレジットカードは、事業用のものを新たに作ることをおすすめします。
事業とプライベートの入出金を分けられるようになるため、次のようなメリットがあります。
- 記帳がやりやすくなる
- 資金繰りがうまくいっているか分かりやすい
- 税務調査が入ったさいに、説明しやすい
- 事業用の口座名義を屋号にすれば、取引先からの信頼を得やすい
- 事業用とプライベート用のお金を線引きできる
一方でデメリットは、口座を新たに作る手間があることです。
こうして比較をすると、デメリットよりもメリットの方が上回っているのが分かりますね。
お金の管理を楽にしたければ、事業用の銀行口座とクレジットカードを作ってみましょう。
貯金を増やすためにできること
個人事業主であるクリエイターは、会社員に比べると収入が不安定です。思いがけず収益が落ちてしまったときでも、持ちこたえられるだけの備えができるよう、しっかりと貯金をしておきたいものです。
貯金を増やすために、次の3つを心がけましょう。
- 収入を増やす
- 毎月の貯蓄額を決める
- 節税する
それぞれについて、詳しく説明します。
収入を増やす
貯金を増やすために、事業を安定させること、収入をアップさせることに注力しましょう。
具体的には、以下のようなことです。
- 仕事の量を増やす
- 効率化のために外注をする
- 自己投資をする
目先の利益を追うだけでなく、長期的な計画を立てて収入が右肩上がりになっていくよう、仕事のレベルを上げていきましょう。
毎月の貯蓄額を決める
収入が増えても、生活費の出費が多ければ貯金は増えません。
収入があった分だけ使うという意識は改め、毎月使えるお金を固定化する、収入の◯割は貯蓄するなど、貯蓄のルールを決めるようにしましょう。
また今は利子が低いため、銀行にお金を預けておくだけではなかなかお金が増えません。余裕が出てきたら、投資や資産運用も検討するといいでしょう。
節税する
節税するということは、支払う税金が減るということです。
個人事業主の場合、以下の節税方法があります。
- 経費をもれなく計上する
- 確定申告を青色申告にする
- iDeCoに加入する
- 小規模企業共済に加入する
こういった節税の制度をうまく活用し、手元に残るお金が増えるようにしましょう。
上記した節税方法について、さらに詳しく説明します。
経費をもれなく計上する
個人事業主は所得に応じて税金を納めますが、その所得とは次の計算式で決まります。
所得 = 売上 - 経費 - 各種控除
このため、もれなく経費を計上することは節税につながるのです。だからといって何でも経費にしてしまおう、という考え方は間違いですが、どんな支出が経費になるのかを把握しておくことはとても大切です。
日頃から、売上だけでなく経費もきちんと管理するようにしましょう。
確定申告を青色申告にする
確定申告には青色申告と白色申告がありますが、青色申告の方が節税効果は高いです。
青色申告には、白色申告にはない、さまざまな制度があるからです。
- 赤字の繰越ができる(3年間)
- 青色申告特別控除が適用される
- 貸倒引当金を計上できる
- 少額減価償却の特例が適用される など
ただ、白色申告では単式簿記での記帳が認められているのに対し、青色申告では、複式簿記の記帳が義務づけられています。複式簿記の方が記帳の難易度が高いのがデメリットですが、節税効果の高さを考えると、やはり青色申告の方がおすすめです。
iDeCoに加入する
iDeCoとは、私的年金制度の一つです。任意の金額を積み立て、自身で運用をすれば、その掛金と運用益が公的年金に上乗せされます。
iDeCoの掛金は、確定申告のさい、全て所得から控除できます。個人事業主は公的年金が国民年金しかありませんが、iDeCoの制度をうまく利用すれば、老後に備えながら節税もできますね。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済とは、廃業したときに退職金を受け取れる制度です。小規模という名称ではありますが、個人事業主も加入できます。
掛金は、月1,000円~70,000円の間であれば、500円ごとに自由に設定できます。途中での増額・減額も可能なため、経営状況に応じて金額を増減すればいいでしょう。
小規模企業共済の掛金も、すべて所得控除にできるので、節税効果は大きいです。
クリエイターはお金をしっかりと管理することも大事
クリエイターは目の前の仕事をやり遂げようという気持ちが強く、お金については後回しになってしまいがちです。しかし、長く事業を続けるためには、お金の管理がとても大切です。
今すぐ取りかかれることは、以下の3つです。
- 領収書や請求書を保管しておく
- こまめに記帳をする
- 銀行口座やクレジットカードは事業用とプライベート用を分ける
毎日の仕事で忙しいかもしれませんが、ぜひお金の管理のための時間も取るようにしてください。
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