個人事業主になったクリエイターは、基本的に確定申告が必要です。ただし、条件によって確定申告が不要になるケースがあるなど、人それぞれに状況は変わってきます。
また、初めての確定申告では、青色申告と白色申告のどちらかを選ばなければなりません。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しくお伝えしています。
- 確定申告が必要なケース
- 確定申告が不要なケース
- 青色申告と白色申告の選択
- 確定申告のやりかた、流れ など
確定申告の基本的な知識が身につきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
- 1 個人事業主(フリーランス)の確定申告とは
- 2 個人事業主で確定申告が不要なケース
- 3 個人事業主で確定申告が必要なケース
- 4 アルバイトをしている
- 5 株取引などをしている
- 6 医療費控除をうける
- 7 ふるさと納税などをしている
- 8 確定申告を初めて行う場合は青色申告か白色申告を選択する
- 9 青色申告のメリット
- 10 青色申告のデメリット 手間がかかる
- 11 白色申告のメリット
- 12 白色申告のデメリット
- 13 青色申告の申請方法
- 14 確定申告のやり方、流れ
- 15 確定申告のやり方
- 16 確定申告書の提出までの流れ
- 17 確定申告を自分で行うのに向いている人、向いていない人
- 18 確定申告を自分で行うのに向いている人
- 19 確定申告を自分で行うのに向いていない人
- 20 確定申告の必要書類
- 21 確定申告書(第一表、第二表)
- 22 青色申告決算書(青色申告の場合)
- 23 収支内訳書(白色申告の場合)
- 24 控除を受けるために必要な書類
- 25 本人確認書類
- 26 源泉徴収書
- 27 【確定申告の注意点】ペナルティに注意
- 28 まとめ
個人事業主(フリーランス)の確定申告とは
確定申告とは、1年(1月1日から12月31日まで)の所得を計算して、所得税額を確定させる手続きのことです。会社員であれば会社が計算をしてくれますが、個人事業主になったクリエイターは自分で行わなければなりません。
確定申告を行うためには、まず1年の所得を把握することが必要です。
所得は、次の計算式で算定できます。
所得 = 売上 - 必要経費 - 所得控除
個人事業主で確定申告が不要なケース
個人事業主(フリーランス)でも、確定申告が不要なケースがあります。
それは、所得を計算した結果、48万円以下になった場合です。
ただし、確定申告を行わなかった際は、国民健康保険や住民税の申告が別途必要になります。この手続きが煩わしいと感じるなら、所得が48万円以下でも確定申告を行っておいた方が良いでしょう。
個人事業主で確定申告が必要なケース
算定をした結果、所得が48万円以上になった方は確定申告の対象になります。必ず申告しましょう。
また、所得が48万円以下でも次のようなケースでは確定申告が必要です。
- アルバイトをしている
- 医療費控除をうける
- 不動産所得がある
- ふるさと納税などをしている
上記について、詳しく説明します。
アルバイトをしている
クリエイターのお仕事の他にアルバイトをしている方は、条件によっては確定申告が必要です。
アルバイトの給与所得については、勤務先が年末調整を行うため所得税の納税は完了しています。しかし、個人事業の部分については確定申告を行わなければなりません。
給与を1か所からもらっている場合は、給与所得以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です。
給与を2か所からもらっている場合は、まず、年末調整されなかった給与と給与所得以外の所得を合計します。その合計額が20万円を超える際には、確定申告が必要です。
株取引などをしている
クリエイターのお仕事のかたわら、株取引を行っている方もおられるのではないでしょうか。株式の譲渡益や配当、公社債の利子などを得た場合、これらも確定申告の対象になります。
ただし、以下の条件に当てはまる方は確定申告が必要ありません。
- 源泉徴収有りの特定口座のみを利用している
- NISA、つみたてNISAなど、非課税枠内で取引をしている
- 配当や公社債の利子について、確定申告不要制度を選択している
医療費控除をうける
医療費が多かったので医療費控除の適用受けたい場合は確定申告が必要となります。
医療費控除は医療費そのものだけでなく通院にあった交通費も対象となりますのでもれなく集計をしておきましょう。
ふるさと納税などをしている
- ふるさと納税をした
- 1年の医療費が10万円を超え
- 1年の間に住宅ローンを組んだ
上記のようなケースでも、確定申告は必要です。ペナルティがあるわけではありませんが、確定申告を行っていないと、税の還付や控除が受けられなくなるので気をつけてください。
確定申告を初めて行う場合は青色申告か白色申告を選択する
確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類の申告方法があります。初めての確定申告では、どちらの方法で申告するかを選ばなければなりません。
青色申告のメリットとデメリットは次のとおりです。
- 青色申告のメリット:節税効果が高い
- 青色申告のデメリット:複式簿記で記帳しなければならない
対して、白色申告のメリットとデメリットは次のとおりです。
- 白色申告のメリット:単式簿記の記帳で良い
- 白色申告のデメリット:青色申告よりも節税効果が低い
それぞれについて、詳しく説明していきます。
青色申告のメリット
青色申告を選択すると、以下のことが可能になります。
- 赤字の繰越ができる(3年間)
- 青色申告特別控除が受けられる
- 少額減価償却の特例を受けられる など
これらは全て、所得を抑えられるために節税につながり、青色申告の大きなメリットと言えます。
青色申告のデメリット 手間がかかる
青色申告のデメリットは、複式簿記での記帳が義務づけられていることです。
売上が出たとき、経費の支払いをしたときなど、全ての取引は帳簿に記入していきます。その記帳方法が「複式簿記」と指定されているのです。
複式簿記は、取引の結果、資産がどのように変動したのかが分かる記帳方法です。簿記の仕組みをしっかりと理解している必要があるため、知識がない人には複雑に感じてしまう部分もあるでしょう。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは、記帳方法が単式簿記ですむことです。複式簿記よりも記帳が簡単なため、青色申告よりも確定申告の難易度は低くなります。
白色申告のデメリット
白色申告では、青色申告に比べ税制上の優遇が少なくなります。
白色申告でも、基礎控除や社会保険料控除など、所得控除の適用はあります。しかし、赤字の繰越など、その他の節税はできません。
青色申告の申請方法
青色申告をしたい場合には、「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。また、申告には期限があり、青色申告をしたい年の3月15日までとなっています。
開業をする際、開業届と同時に提出しておくのが1番スムーズです。
青色申告承認申請書を提出しなかった場合には、自動的に白色申告が適用されますので、注意してください。
確定申告のやり方、流れ
確定申告書はどのように作成し、提出するのでしょうか。やり方や流れを確認してみましょう。
確定申告のやり方
確定申告の作成は、仕入や売上など、事業で発生した取引を全て帳簿に記入するところから始まります。
1度に1年分をまとめて記帳するのは大変ですから、週に1度、月に1度など頻度を決めて記帳をしていくといいでしょう。クリエイターの場合、特に経費はプライベートのものと混同しやすくなるので、こまめに確認するのがおすすめです。
記帳や確定申告書のやり方は、以下の方法があります。
- 手書きで作成する
- 会計ソフトを使用する
- 国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用する
- 税理士に依頼する
確定申告書の提出までの流れ
確定申告の流れをまとめると、以下のようになります。
- 1年間、取引を記帳する
- 経費を記帳し、領収書やレシートを保管する
- 所得控除になる項目について確認する(社会保険料控除など)
- 確定申告書を作成
- 必要書類を添付して提出
- 所得税を納める(または還付を受ける)
また、確定申告書の提出方法は以下の3つです。
- 税務署の窓口や確定申告会場への持参
- 税務署への郵送
- e-Tax(電子申告)
e-Taxは、ICカードリーダーを用意すれば自宅のパソコンから提出をできるものです。他の提出方法に比べ、青色申告特別控除の上限金額が10万円上乗せされるので、節税効果が1番高くなっています。
確定申告を自分で行うのに向いている人、向いていない人
記帳をしたり控除について確認したりと、確定申告にはさまざまな工程があります。全て自分でできるのだろうか、と不安になる方もおられることでしょう。
そこで、確定申告を自分で行うのに向いている人、向いていない人について見ていきましょう。
確定申告を自分で行うのに向いている人
自分で確定申告を行うのに向いているのは、こんな方です。
- 簿記の知識がある
- 取引の数がそこまで多くない
- 小さな事業を行っている
簿記の知識があり、取引の数が多くないのであれば、確定申告を自分で行うことは十分に可能です。分からない部分が出てきたら、確定申告についての書籍を読んだり、税務署に直接確認したりすることで解決できるでしょう。
確定申告を自分で行うのに向いていない人
自分で確定申告を行うのに向いていないのは、こんな方です。
- 簿記について全く知識がない
- 本業が忙しく、時間がない
- 取引が多く、売上や経費が多い
記帳に追われて本業が滞ってしまうのは避けたいものですね。上記のような方は、税理士事務所など、確定申告書の作成などを代行してもらえるサービスの利用を検討すると良いでしょう。
確定申告の必要書類
確定申告で必要になる書類は、以下のとおりです。
- 確定申告書(第一表、第二表)
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
- 所得控除を受けるために必要な書類
- 本人確認書類
- 源泉徴収書
それぞれについて、詳細を説明します。
確定申告書(第一表、第二表)
所得や控除の金額を記入するものです。2021年度まで、申告書にはAとBの2種類がありましたが、2022年度より「B」に一本化されました。
第一表と第二表があり、両方を提出します。
青色申告決算書(青色申告の場合)
青色申告をする場合に必要です。
帳簿の内容をもとに、以下の2つを記入します。
- 損益計算書およびその内訳
- 貸借対照表
収支内訳書(白色申告の場合)
白色申告の場合に提出します。
帳簿をもとに売上や経費などを記入し、所得を算出します。
控除を受けるために必要な書類
所得控除や税額控除を受けるために必要な書類も、一緒に提出します。
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
- 生命保険料の支払い金額を証明する書類
- 医療費控除の明細票 など
本人確認書類
マイナンバーカードの写しなど、本人確認書類についても提出が必要です。
マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーが確認できる書類(住民票の写しなど)と、身元確認書類(運転免許証の写しなど)をセットで提出します。
源泉徴収書
アルバイトなどをしていて給与所得がある場合は、源泉徴収が必要です。勤務先からもらい、提出しましょう。
【確定申告の注意点】ペナルティに注意
確定申告は、申告漏れがあったり、提出期限に遅れたりするとペナルティがあります。
確定申告書の提出期間は、毎年2月16日~3月15日です。申告漏れのないようにしっかりとチェックし、余裕を持って提出できるようにしましょう。
ペナルティの中でも1番重いものは、所得を故意に隠したり、確定申告をしなかったりする場合に課される「重加算税」です。本来、納付すべき税額の35~40%を加算されるという、重いペナルティとなっています。
確定申告では、ごまかしたり、やらずにすまそうと考えたりするのはやめましょう。
まとめ
確定申告は大変な作業というイメージがあるかもしれません。しかし、会計ソフトなどをうまく使い、1年を通して記帳を少しずつやっておくようにすれば、それほど大がかりな作業ではありません。
ただし、数字や簿記が苦手という方や、事業が忙しく時間がないという方は、税理士の方にお任せてしてしまうのも1つの手でしょう。
申告漏れや期限遅れがあるとペナルティがありますから、確実に提出できる方法を選びましょう。
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