「クリエイターとして法人成りしたいけど手続き方法がわからない」
「個人事業主の資産はどう引き継ぐの?」
と考えていませんか?
クリエイターとしての事業がうまくいった際に個人事業主の状態では、税金対策が難しかったり社会的信用が低かったりといったデメリットがあります。
そのため、法人成りしたいと考えているかもしれません。ただ、どのような手続きが必要なのか、新たに会社を設立する場合との違いがよくわからない人も多いでしょう。
そこでこの記事では以下の内容について詳しく解説します。
- 法人成りする際の手続き
- 会社の設立後にやるべきこと
- 個人事業主から法人成りする際に必要な手続き
この記事を読めば、個人事業主が法人成りする際に注意しなければならない点もわかります。
目次
会社設立の手続き
一般的に年間利益が500万円以上出るようになったら、法人成りするタイミングといわれています。
個人事業主のクリエイターが法人成りする場合、会社の設立をしなければなりません。まずは、会社を設立する際に必要な手続きについて解説します。
- 会社の基本事項を決定する
- 定款を作成する
- 公証人による定款の認証を受ける
- 資本金の払い込みをする
- 法務局で登記申請をする
順番に手続きの詳しい内容を見ていきましょう。
1.会社の基本事項を決定する
まずは会社の基本事項を決めなければなりません。基本事項とは以下のような項目です。
- 会社名(商号)
- 株式会社か合同会社か
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金の額
- 決算期
事業目的は、定款にも記載が義務づけられているものです。普段クリエイターとして活動している事業内容をそのまま記載すれば問題ありません。
後から基本事項の追加や変更をする場合は費用がかかるので、将来的に始める予定の事業も記載しておいた方が良いでしょう。
資本金の額は1円から可能ですが、低すぎると会社に資本がないと判断されやすいので、少なくとも100万円以上の金額にするのがオススメです。
また、契約書の締結時などに使用する法人の印鑑(代表者印・銀行印・角印・ゴム印)や登記申請で提出が必要な印鑑証明書(個人のもの)も用意しておきます。
2.定款を作成する
続いて用意するものは定款です。定款とは、会社の基本事項などについて定められている基本規約や基本規則が記載された書類です。
決まったフォーマットはないので、会計ソフトなどから雛形をダウンロードして使っても問題ありません。
紙で作成する場合は印紙代4万円が必要になるため、電子定款の作成をおすすめします。
3.公証人による定款の認証を受ける
株式会社を設立する場合は、公証役場で公証人から定款の認証を受けなければなりません。
定款の認証は、正当な手続きにより定款が作成されたことを公証人が証明すること。
定款を作成したら、本店所在地を管轄する公証役場で予約を取る必要があります。必要書類と手数料を持って公証役場に行ったら、公証人から定款の認証を受けます。
定款の認証を受ける時に必要なものは、定款の原本、発起人の本人確認書類、また代理人に依頼する場合は代理人自身の本人確認書類や委任状です。
4.資本金の払い込みをする
定款の認証完了後、代表者個人の口座に資本金の払い込みをします。
また、登記申請をする際に必要になるので、通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込内容が記載されたページをコピーしておきましょう。
5.法務局で登記申請をする
法務局の窓口、郵送、オンラインなどで登記申請を行います。登記申請時に必要な書類は以下の通りです。
- 設立登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款
- 発起人の同意書
- 代表取締役の就任承諾書
- 取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 資本金の払込証明書
- 印鑑届書
- 登記すべき事項を記録した別紙または記録媒体
登記申請が完了したら会社設立となります。
会社の設立後にやるべきこと
会社の設立により法人成りをした後もやるべきことがあります。
まずは、法務局で以下の書類を受け取っておきましょう。
- 登記事項証明書
- 印鑑証明書
- 印鑑カード
続いて、管轄の税務署に提出するものを揃えます。
- 法人設立届
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所の開設届
- 源泉所得税の納期特例の申請書
給与支払事務所の開設届は役員や従業員に給与を支払う場合に必要となる書類です。源泉所得税の納期特例の申請書を提出しておけば、半年に1回の納付で済みます。
なお、青色申告を受けるためには、青色申告の承認申請書を3ヶ月以内に提出する必要があります。忘れずに提出しましょう。
個人事業主から法人成りする際に必要な手続き
個人事業主から法人成りをする場合、以下の手続きも必要です。
- 個人事業を廃業する
- 個人事業の資産や債務を法人に移動する
- クライアントと会社名義で改めて契約する
- 個人としての確定申告を行う
それぞれの手続きについて詳しく解説します。
1.個人事業を廃業する
個人事業主から法人成りをするわけですから、個人事業は廃業する必要があります。
廃業するのに提出しなければならない書類は以下の通りです。
全員が提出するべき書類 |
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該当する人が提出するべき書類 |
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個人事業の開業・廃業等届出書は、事業を廃止した日から1ヶ月以内に納税地の所轄税務署へ提出しなければなりません。
法人化により青色申告をやめる場合は、所得税の青色申告の取りやめ届出書をやめようとする年の翌年3月15日までに納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
また、従業員を雇用していた場合は、給与支払事務所等の廃止届出書を納税地の所轄税務署長に提出します。
2.個人事業の資産や債務を法人に移動する
個人から法人成りする場合、資産や負債を会社に移動する必要があります。
引き継ぎ方法は主に売買もしくは賃貸の2つです。
売買の場合、個人の資産を法人に売却する形を取らなければなりません。売却金額は、基本的に中古市場での相場(時価)で決まります。
3.クライアントと会社名義で改めて契約する
クリエイターの場合、いくつかのクライアントと個人名義で契約を結んでいるでしょう。しかし、法人成りした場合は、改めて会社名義で契約を結ぶ必要があります。
- 各種契約や名義の変更手続き
- 金融機関の通帳
- オフィスの賃貸契約書
- 事業用に使っている車両や車両保険
- 電話料金、電気、ガス、水道代
- リース契約
また、クライアントへ振込先口座の変更を伝えたり、挨拶をしたりする必要があります。
4. 個人としての確定申告を行う
法人化した日までは個人事業主となります。
よって、法人成りしたら、個人としての所得の確定申告をしなければなりません。
たとえば2023年5月1日に法人化した場合は、2023年の1月1日から4月30日までの確定申告をします。
なお、法人成りをするにあたり個人での確定申告をした後に税務調査がきやすいといわれているので注意です。
その理由として、税務調査に入る最後のチャンスになる点や特殊な処理が多くミスが起きやすいなどがあります。
最後の個人の確定申告も気をぬかずに、税務調査を受けても困らないように、正しい方法で申告をしておきましょう。
まとめ
クリエイターが法人成りする場合は、通常の会社設立の手続きだけでなく、個人事業の廃業、個人事業の資産や負債を会社に移動するなどの手続きが必要です。
また、個人所得の確定申告を行わなければなりません。通常の申告方法とは異なる処理が必要になるため、注意する必要があります。
やることは多いですが、漏れなく手続きを進めましょう。
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